実は、「職業訓練給付金」という名称の給付金や制度は存在しません。

図でご説明します。

雇用保険
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失業等給付
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 ┣ 一般被保険者の求職者給付
 ┃  ┣ 基本手当 ← 一般的に「失業給付」
 ┃  ┣ 技能習得手当(受講手当、通所手当)、寄宿手当
 ┃  ┗ 傷病手当
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 ┣ 高年齢継続被保険者の求職者給付
 ┣ 短期雇用特例被保険者の求職者給付
 ┣ 日雇労働被保険者の求職者給付
 ┣ 就職促進給付
 ┣ 教育訓練給付
 ┗ 雇用継続給付

①一般的な失業者・離職者が受給するのは上図の基本手当です。そのため、特にこの部分を指して「失業給付」と呼ぶことが多いようです。昔ながらの「失業保険」という呼び方をする方もいます(なお失業保険法は昭和50年に廃止され、雇用保険法に変わっています)。

公共職業訓練の受講期間中はこの基本手当を継続受給することができ(但し受講指示を受けた場合に限ります。受講推薦の場合は延長がありません)、更に技能習得手当として受講手当通所手当が加算されます。受講手当は1日700円です。通所手当は交通費のことで、原則として公共交通機関を利用した場合の定期代相当額が支給されます。

②上図の中に「教育訓練給付」という項目がありますが、公共職業訓練とは全く関係がありません。「教育訓練給付」は、厚生労働省が指定した民間の資格講座等を修了すると、受講料の20%(最大10万円)が職業安定所(ハローワーク)から支給される制度です。在職者も離職者も利用する事が出来ます。

③上図にはありませんが、他にも似た言葉に「訓練・生活支援給付」があります。「訓練・生活支援給付金」は、失業給付を受給する資格がない方あるいは受給を終了した方のための制度です。これらの方が職業安定所(ハローワーク)のあっせんによって基金訓練または公共職業訓練を受講する場合に、一定の要件を満たせば、中央職業能力開発協会から訓練期間中の生活保障として月10万円(扶養者がいる場合は12万円)が支給されるものです。

職業訓練給付金という言葉を聞いたら、何を指しているのか、一瞬立ち止まって考えてみて下さい。